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特殊清掃を扱う専門会社「特殊清掃24時」:特殊清掃「戦う男たち」2008年分

特殊清掃「戦う男たち」

Today ~特別な日~

「年内はいつまで仕事ですか?」
「31日です」
「31日!?・・・大変ですねぇ・・・」
「はい・・・」
「じゃ、1月は何日からですか?」
「1日です」
「1日!?」
「はい・・・」
「・・・てことは、休みないんじゃないですか?」
「ま、そういうことで・・・」

毎年の師走、必ずと言っていいほど誰かとこんな会話をする私。
つい先日も、仕事関係の女性とこんなやりとりをした。

仕事納めは大晦日・仕事始めは元旦。
死体業には当り前のこと。
小売店や飲食店、芸能イベントや旅行観光、医療介護や障害福祉、運輸流通や情報通信、神社仏閣やホテル旅館、鉄道バスや航空船舶、警察や消防etc・・・
年末年始にゆっくり休みがとれないのは、私ばかりではない。
多くの人が年末年始をゆっくり休んで楽しく過ごすためには、これまた多くの人の働きが必要。
まぁ、休む側になるか働く側になるかは人それぞれだが、どちらになっても働きと報いの帳尻は合うのだろうと思う。

そうは言っても、一般企業の冬休みが率直に羨ましい。
毎年毎年、同じ愚痴になるけど、私もたまには連休が欲しい。
豪華な食事も贅沢な旅行もいらないから、とにかく、好きなだけ寝ていたい。
月休二日制に慣れた身体とは言え、たまった疲れがなかなかとれないもので。

仕事柄、やむを得ないことなのだが、休日が不規則なら勤務時間も不規則。
朝から夕方の仕事がメインとはいえ、早朝もあれば夜もある。
深夜に叩き起こされることもしばしば。
食事の回数も時間も、日によってバラバラ。
24時間365日、臨戦態勢を解けないことが、疲労蓄積の一番の原因だと思う。
若い時分はそれでも何とかいけたけど、オヤジ臭がする年代になってくると、さすがにツラくなってきた。
そんな私には、自分が人並み以上に頑張っているように錯覚する悪い癖がある。
しかし、その辺の勘違いはそろそろやめないといけない。
それぞれの業界・それぞれの職種に、私以上に頑張っている人がたくさんいるはずだから。

夜も明け切らぬうちに家を出て、夜もふけきった頃に家に帰る毎日。
通勤電車は、鮨詰状態の人・人・人。
それは、まるでベルトコンベアーに乗って流れていく機械部品のよう。
それぞれが視線を合わせることなく、椅子取りゲームのように空席を狙う。
やっと手に入れた座席では、束の間の夢。
雑踏に押され、人ゴミに流され、会社に着く頃には既にクタクタ。
それでも、身体に鞭打って、昼間の労働に勤しむ。
下げたくない頭を下げ、笑いたくない顔を笑わせ、腹にもないことを話し、飲みたくない酒を飲み、人の顔色を伺う。
一日の労を終えると、再び試練の満員電車。
帰りたいのに帰りたくないような気がする我家・帰りたくないような気がするけど帰りたい我家・・・そうして、疲れた身体は、倒れ込むように帰宅。
そんな毎日にウンザリしている人も多いのではないだろうか。

しかし、師走は、慌ただしさの中にも活気が溢れ、そんな灰色の日々が華やかに色づく時期でもある。
私も、年末の賑やかな雰囲気が好きである。
普段は世知辛さばかりを感じる世の中に明るい活気が感じられて、祝事に縁のない私もその雰囲気を味わえるからだ。

冬休み・ボーナス・大晦日・正月準備etc・・・
過日のChristmasもその一つ・・・イヴには特別な夜を過ごした人も多かっただろう。
ちなみに、私の場合は、夜遅くまで現場作業をやり、震えながらシャワーを浴び、スーパーの売れ残り惣菜をツマミに一杯やって終わり。
TVを相手にいつもより多めの量をあおり、あとは、翌日の作業に備えて早々と就寝。
ケーキもシャンパンもなかったけど、寂しさも不満もない。
この日が静かに迎えられただけで充分だから。

それにしても、世の人達は、何がめでたくて祝っているのか・・・
何が楽しくて騒いでいるのか・・・
大半がノンクリスチャンなのに日本中がお祭り騒ぎ。
通り過ぎる街には、輝くイルミネーションと派手な装飾。
ラジオをつければ、話題はChristmasネタ。
かかる音楽もChristmasソングばかり。
浮かれに浮かれていた。
楽しく賑やかなのは結構なことかもしれないけど、この節操のない宗教観に、人の失ったものが見えてしまう・・・
ま、こんな水差しは野暮ってもんか。
「楽しいChristmasが過ごせなかったものだから、僻んでるだけじゃない?」なんて言われそうだしね。

ただ、その陰では不況の嵐が吹き荒れている。
聞きたくなくても、景気の悪い話・・・それも、かつてなかったような深刻なニュースが聞こえてくる。
減収減益・倒産破産・失業失職・・・華やかだったChristmasの反動があるせいか、その陰はより暗く見える。
人々の不安を煽り、人々から生活の糧を奪うこの状況は、一体どれくらい続くのだろうか。

「回復するには、少なくとも三年はかかる」
「イヤ、そんなに早くは回復しない」
そんな議論がなされている最中にも、一人また一人と苦境に陥っている。
ただ、国の政策をいくら非難しても、身の回りの現実は変わらない。
自分一人の力ではどうすることもできないことが多いのも現実だが、何もかも社会のせい・人のせいにしてたんでは、開けるものも開けない。
できない理由を挙げるより、できる術を探すことの方が大切。
今、自分ができることを精一杯やるしかない。
また、こういう時こそが、従来の経済至上主義・物質主義を見直すチャンスなのかもしれない。
この不景気がずっとでは困るけど、精神主義に立ち返り、人格を養うためのいい機会と捉えて耐えよう。
苦しみも悲しみも、いつか消えてゆくから。

〝今、自分ができることを精一杯やるしかない〟
・・・このブログ、しばらく続けることにした。
読んでくれる人・ブログの終わりを惜しんでくれる人がいることは素直に嬉しいし、望まれて応えないでは男が廃るような気もするので。
ただし、従来のような定期更新ではなく〝不定期更新〟にする。
また、断続の意志を変えてもコメントを無視するスタンスは変わらない。
デスクワーカーではない私が、実務以外でPCとにらめっこしていると仕事にならないもので。
この無礼は予め謝っとく。申し訳ない。

「やめる!」と言っておきながらの「やっぱり続ける」。
まぁ、このくらいの優柔不断は、私には日常茶飯事。
何事も初心貫徹、自分の決意を堅持できるくらいに意志の強い人間だったら、もっといい?人生を歩けていただろうに・・・
この不本意な自分らしさは、笑い飛ばすしかない。

ちなみに、もう終了の予告はしない。
チヤホヤされたがりの甘ったれ野郎みたいなので。
だから、いきなり「最終回」を告げるか、長く更新しないでおいて自然消滅するか・・・自分の気ままに任せるつもり。
一体、いつまで続くことやら・・・私にもサッパリわからない・・・一週間後か・一ヶ月後か・一年後か・・・ま、先のことがわからないから、今を生きられるんだけどね。

確かに、先のことは誰にもわからない。
そして、それが、人の心に暗い陰が落とすことがある。
しかし、先のわからない不安な日々にも、生活に追われる平凡な日々にも、苦悩に襲われて眠れない日々にも、
過ぎた時間を取り戻せなくても、老いた身体を若返らせることができなくても、頑なな心を変えられなくても、
今日、自分が自分にできることはある。
自分が変わるチャンスは今日にある。

派手なイベント・記念すべきこと・心沸き立つ出来事がなくても、今日は特別な日。
明日がないかもしれない今日・自分の命日になるかもしれない今日は、特別な日なのだ。
それを肯定・楽観的に捉えれて、〝今日は特別な日〟という意識を持って生きれば、些細なことで行き詰まりがちの毎日が、少しずつ開けてくるのではないだろうか。

当り前じゃない今日のこの日を、そんな特別な日にしたいものである。

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