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特殊清掃を扱う専門会社「特殊清掃24時」:特殊清掃「戦う男たち」2006年分

特殊清掃「戦う男たち」

遺族の嘘

遺品回収の依頼で見積りに出向いた。依頼者は中年女性。現場は公営団地。
「独り暮らしをしていた父親が亡くなったので、遺品を処分したい」とのことだった。

とりあえず、現場へ。亡くなった場所は病院とのこと。
しかし、部屋に入ったら、かすかに死体の腐敗臭がする。

「男の独り暮らしで不衛生な生活をしていたので、臭くてスイマセン・・・」

と依頼者は言うが、ゴミの臭いと死体の臭いくらいは嗅ぎ分けられる。
念のため言っておくが自慢してるわけじゃないんで。

「亡くなってから、そう時間が経っていないうちに発見されたせいで臭いが薄いだけ、間違いなく故人はここで死んでいる。依頼者が言うように病院で亡くなった訳ではない。」と確信。

見積金額を少しでも安くするためか、世間体が悪いからか、「病院で死去」とウソをついているようだった。

私は自信たっぷりに

「失礼ですが、故人はここで亡くなってますよね!?」

と依頼者に言ってみた。

私の強気でストレートな物腰に、「抵抗するとマズイ」と判断したのだろうか、依頼者は気まずそうにそれを認めた。そして、こういう仕事は依頼者との信頼関係が大事であることを説明して、大きなウソはつかないようにお願いした。

故人がどこで亡くなっていようが、気にすることはない。そんなことが気になるくらいなら、そもそも私はこんな仕事はしていない。そんな類のことを依頼者に話して、心の荷を軽くしてもらった。
雨降って地固まり、その後はお互い気持ちのいい関係で仕事をすることができた。

故人が生きていた物理的な形跡はなくなったが、故人は遺族の心の中に残り、私の仕事を通じて遺族が心の荷を降ろしてくれれば幸いである(きれいにまとめ過ぎ?)。

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