特殊清掃を扱う専門会社「特殊清掃24時」:特殊清掃「戦う男たち」2006年分
特殊清掃「戦う男たち」
おしどり夫婦
今回は、特殊清掃というより、遺体処置の話である。
現場(自宅)に行くと、なんと遺体が二体ある。二人ともかなりの高齢で、入院先の病院でほとんど同時に亡くなったとのこと。
かなり珍しいケースで、遺族も悲しんでいるというより、微笑ましく思っているような感じだった。そういう私自身も、何とも言えない温かい気持ちを覚えた。
生前の二人がどんな夫婦だったか知る由もないが、喜怒哀楽・羽陽曲折・七転八起、楽しかったことも嬉しかったことも、苦しかったことも辛かったことも、みんな二人で受け止めて二人で歩いてきた人生だったに違いない。そして、最期も二人仲良く一緒に。
そう思うと、
「お疲れ様でした」
という気持ちが自然にでてきた。印象に残る現場だった。
もう一つ夫婦の話。
中年夫婦が自殺した。年老いた母親と成人した娘達を残して。
目立った外傷は見えなかったので、
「練炭自殺か?服毒か?」
と思いながら、遺体を柩に納めた。遺族は皆号泣。皆が泣きながら、二人の亡骸に思い思いのことを言っている。
遺族は、悔しくて悲しくて仕方がないのだ。
何度経験しても、ホント、こういう場はいたたまれない。
自殺ネタは何度かブログに書いているが、夫婦で一緒に死ぬケースはなかなか珍しい(表現が不適切だったら御容赦)。
一緒に死ぬくらい仲がいいとは、羨ましいような羨ましくないような、複雑な心境だった。
どうしても、自殺理由を想像してしまう。
「家も家族もごく普通だし、金銭トラブル(借金)かなぁ・・・最近、多いらしいし」
等と考えながら、作業を進めた。
ちなみに、少しして、レンタカーを使っての練炭自殺であることが分かった。レンタカー会社の人によると、自殺に使われた車はどんなに汚れてなくても、どんなに新しくても廃車にするとのこと。もったいない。
でも、世に中には裏があるのが常。特選中古車として、どこかの中古車屋に並んでたりして。
何はともあれ、配偶者をお持ちの方、お互いに思いやりを持ってお互いを大切に。一緒に居られる時間は限られているから(思っているほど長くはないかもしれないよ)。