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特殊清掃を扱う専門会社「特殊清掃24時」:特殊清掃「戦う男たち」2006年分

特殊清掃「戦う男たち」

皮の流れのように

「皮」と言えば何を想像するだろう。
値段は高いけど、皮製品には味わいがある。
身体には悪いらしいけど、焼き鳥の皮は美味い。
面倒臭いけど、果物は皮を剥いた方が甘露。

前フリはこのくらいにしておいて、そろそろ本題。
私が何の皮について書こうとしているのか・・・そう、既にお見通しの人間の皮。

人の皮は薄いけど意外に丈夫。
梅雨が明けたら海水浴に逝く・・・もとい、海水浴に行く人が多いと思う。

本題が始まったばかりなのに早速脱線。
私のwordは「いく」と打てば「行く」じゃなく「逝く」が、「いたい」と打てば「痛い」じゃなく「遺体」が一番に出る。
そんな語句ばかりを毎日当り前のように打っている自分自身が笑える(笑)。

本題に戻る。
日光に弱い人は日焼けの後に水膨れができ、そのうち痒くなってきて皮が破れ剥がれる。
死体が残す皮は、その皮をもっと丈夫にしたようなもの。

浴槽に浸かったままで腐乱した遺体は、体表の皮の大部分を浴槽に置いて行く。
また食べ物に例えてしまうが、濁ったコーラ(コーヒーでもいいけど、そんなのどっちだっていいか)の中に湯葉(ホットミルクの湯膜でもいいけど、そんなのどっちだっていいか)がたくさん入っているような感じ。

浴槽を掃除するのに、皮をそのままにはしておけない。
元人間で排水口を詰まらせでもしたら大変なことになる。
したがって、腐敗水の中の固形物のほとんどは網状の器具を使ってすくい取らなければならない。海や河のように流れて行ってくれれば楽なんだけど。

私自身は未経験だけど、海やダム等の水中で腐乱した場合、皮が身体の形をとどめたままスッポリと抜けていることがあるらしい。
だから、手の皮なんかは手袋と見間違えるような形で浮いていることもあるそう。

ただ、私が浴槽からすくい取る皮は、身体の形を残しているようなものはない。
そんな浴槽をまさぐる緊張感はたまらなくBAD!
まさに「何がでるかな♪何がでるかな♪」と言った感じで。

器具を通じて伝わる感触は何とも言えないものがあり、明らかに何かをキャッチした網を腐敗水から上げるときは緊張度もMAX!
分かるかなぁ、分かんないだろうなぁ・・・このドキドキ感を伝えきれないことが残念だ。

また、床で死んだ場合も、極めて黒に近い茶色になった皮が残っていることが多い。
これは、皮が乾燥した状態で床にくっついているものだから、削り取るしかない。
カーペット・畳や布団・ベッドの上だとそのまま廃棄できるものが、フローリング床とかだと床を傷めないように除去しなければならないので大変。
汗をかきかき、コツコツと削るしかない。
大工仕事みたいな作業を続けていると、自分が削っているものが元人間だったことを忘れてしまう。
この仕事は経験を積めば積むほど神経もズ太く(おかしく?)なる。
いつの間にか、どんなグロい現場も平気でこなしてしまうようになっている自分に、我ながら感心してしまうこともある。
自分の将来を考えるとちょっと恐い(笑)。

最後に一言。
この時季は毎年必ず水の事故で亡くなる人がいる。
これから、海や川に出掛ける予定のある方、くれぐれも事故には注意を。
水を怖がることは格好悪いことじゃないからね。

避暑・納涼と言ったって、出掛けた先で本当に冷たくなって帰ってきちゃいけない
よ。

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