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特殊清掃を扱う専門会社「特殊清掃24時」:特殊清掃「戦う男たち」2006年分

特殊清掃「戦う男たち」

飼猫とサラリーマン

初老女性の孤独死。
検死結果は「死後二週間」とのこと。
部屋の中はにはいつもの悪習が充満、汚染された布団にはウジが這い回り、ハエが所狭しと飛び回っていた。
ま、これくらいは当たり前の状況。

言葉的におかしな表現になるが、この現場は「きれいな汚染」だった。
故人も、そう苦しまなかったであろうことが伺えた。
汚染は深かったものの、横への広がりが極めて少なく、汚染箇所の撤去はかなり楽にできた。

この要因は二つ考えられた。
一つは、就寝したまま横になった状態で息絶えたこと。
もう一つは、使っていた布団が厚手で吸湿性の高いもの(高級布団?)だったこと。

就寝中に死ぬ人は少なくない。
しかし、コト切れる間際は苦しいのだろうか、布団に納まってきれいに横 になっている状態は少ない。
布団から上半身だけでも這い出した状態だと、その後の腐敗汚染度がかなり変わってくる。
また、薄くて吸湿性の悪い布団だと、布団自体が腐敗液を滲みだしてしまう。

今回の現場は、布団一組・畳一枚・床板一部を撤去すれば汚染部はなくなった。
あとは、ウジ・ハエを始末するだけ(消臭は別課題)。

作業を終えて外に出ると、家の中のものとは微妙に違う異臭を感じた。
この現場では、屋外のことは私の範疇にしていなかったので、知らぬフリもできたが、その異臭がだたのゴミ等とは違っていたので気になった。

そこで、異臭の元を確認するため、異臭の濃い方進んだ。
異臭の元はすぐ発見できた。
家の裏、狭い物置スペースに猫の腐乱死体があった。

すぐ依頼者に連絡。
依頼者によると「故人は猫は飼っていなかったはず」とのこと。
「野良か?」と思いながら外を観察すると、餌用容器が置いてあった。
念のために、再び家の中に入って中を観察。
台所に買い置きのキャットフードがあった。

どうも、野良猫を飼っていたらしい。
私は依頼者に状況を伝え、一度現場を見に来てくれるよう頼んだ。
さすがに、猫の片付けは無料ではできない。
お金をもらうからには、時間を要しても依頼者にBefore現場を確認してもらう必要がある。
結局、猫の始末は後日施行することになった(詳細は先々のブログに載せるかも)。

このパターンの飼い方は、社会には受け入れられにくいが、本人達にとっては快適だろう。
お互いに束縛し合わず、お互いの責任もホドホドに、お互いに都合のいい時だけ関わり合っていればいいのだから。

「半野良なんだから、腹が減ったら余所に行けばよかったのに・・・」
「でも、人に飼われ続けていると、外で生きていく力はなくなるのかなぁ・・・」
私はそう思いながら、ふと我に返った。
「俺も飼われている身か・・・」

「自分は、外でもちゃんと生きていける」と思っているとしたら、そんなのはただの一人よがり、大錯覚、大錯誤。

ブラックカラーのサラリーマン、私はそう思う。

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