特殊清掃を扱う専門会社「特殊清掃24時」:特殊清掃「戦う男たち」2006年分
特殊清掃「戦う男たち」
男心と秋の空
11月に入り、随分と秋も深まってきた。
春夏秋冬、それぞれの季節にそれぞれの趣があって楽しいものだ。
秋は、食欲の秋・行楽の秋・芸術の秋、そして感傷の秋でもある。
私にとっては疲れがドッときている秋だ。
疲れの原因は色々あるが、歳のせいでもあり、ブログを書いているせいでもある。
猛烈に戦った熱い夏が終わり、心身ともに一段落がついた。
例年は、多少の感傷に苦悶しつつも、疲れた身体と心を休ませながら落ち着きを取り戻す時季なのだが、今年の秋は違う。
多くの「死ぬのはやめた」コメントの陰に隠れるように、相変わらず「死にたい」コメントが少なからず入ってくる。
そんなコメントに私の気持ちがつまづくようになってきたのである。
「俺は人の生死を軽々しく扱い過ぎ?」
「自殺願望者を放っておくことは、人殺し・殺人と大差ない?」
こんなことを考え始め、先の見えない螺旋階段をグルグルと下っていった私。
同時に、気分も落ちていった。
もちろん、この類の問題(葛藤)は今に始まったことではない。
ブログを始めて間もない頃から抱えていた。
しかし、今までは何とかそれらと折り合いをつけながらやることができていた(いいのか悪いのか分からないけど)。
そして、この秋は、そんな私に追い討ちをかけるようなことが続いたのだ。
10月の後半、舞い込む仕事が、ことごとく自殺現場だったのである。
しかも、その故人は私と同年代の男性ばかり。
これにはまいった!
リアルタイム過ぎるので、一つ一つの現場の詳細を記すのは控えるが、それはまるで、目に見えない強大なものが自分を標的にしているような錯覚に囚われるくらいだった。
感傷(苦悶)の秋に多くの自殺願望者、そして同世代の自殺が連発・・・気分が落ちるのもやむを得ないか。
とりあえずは、ブログも再開することにした。
ただ、しばらくの間は、自己中心的なネタやネガティブな話が続く可能性が大きい。
愚痴っぽいことを吐露することも少なくないはず。
それらは、自己憐憫・自己弁護・自己顕示に読めるかもしれないし、読んでいても、面白くも何ともないだろう。
しかし、そんな中に私(特掃隊長)の弱さや愚かさを見つけだし、「孤独なのは自分だけじゃない」ことに気づいて少しでも気持ちが楽になる人がいれば幸いである。
ちなみに、管理人の連絡にある「不慮の事故」というのは、風呂場で起こったショッキングな出来事なのだが、それはまた後日記すことにする。
私の中の秋の空は、毎日模様を変えている。
雨や曇の日が多いけど、たまには晴天の日もある。
たまたま快晴が続いているからといって奢り高ぶることなく、たまたま雨が続いているからといって卑屈になることもなく、いつも一定の謙遜さを覚えた人間としてやっていきたいと思う秋である。