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特殊清掃を扱う専門会社「特殊清掃24時」:特殊清掃「戦う男たち」2007年分

特殊清掃「戦う男たち」

死なん指南

本blogの読者書き込み欄は、公開Verと非公開Verがある。
こんな形態になった事情は一年前のblog記事に遡ってもらえれば分かるけど、このスタイルにしてからは特に荒れることもなく平穏に維持できているみたいなので何よりである。

たった一年前のことなのに、コメント欄が荒れていた頃が懐かしく思える。
一年経って、更新頻度も落とし、中身もだいぶ様変わり。
とても、同一人物(私)が書いているとは思えない?
時は、確実に過ぎている。
私も少しは成長している?

一部の書き込みについて、所感を記そう。

「なんでそんなに頑張れるの?」
以前にも書いたけど、私の〝頑張り〟は、追い詰められた局面で結果的・瞬間的に発揮される消極的な力。
時々、頑張ることが必要な時があるだけで、総じて私は〝頑張って生きている〟わけではない。

どちらかと言うと、頑張ることはあまり好きじゃないかも。
〝頑張って生きる〟ことより、〝どうやったら頑張らないで済むか〟ばかりを志向しているような気がする。
困難に立ち向かうより困難から逃げようとすることの方が多い。
それでも、実際は、逃げ切れないことが多いけど。

私は、不安神経症的な性質で神経質、マイナス思考の傾向が強く極度の不眠症でもある。
心身共に疲れやすくて、口から出るのは、笑い声より溜め息の方が多い。

こんな私が頑張れることと言ったら、ごく限られた一時的なことだけ。
私の努力や忍耐力には持久力が欠けているのだ。

「特掃隊長=強い男」
なんて印象(誤解)を招いているかもしれないけど、私は、自分でも情けなくなる(呆れる)くらいに弱い人間。
弱いから、この仕事をやってるわけ。

ま、私もだだの人間。
それが、たまたま風変わりな仕事をしているだけのこと。

「特殊清掃の仕事をしたい!」
んー。
このところ、こんな人が増えている。
その動機は様々だと思うけど、仮に本blogがきっかけになったとしたら、やめた方がいい。絶対に!

偉そうな言い方になるけど、そんな人に対しては、
「何にも分かってないなぁ」
と思ってしまう。
現実を分かってたら、「やってみたい」なんて気は起きないはず。
逃げられるものなら、私だって逃げたいんだから。

blogで表しているのは、死体業のほんの一面・一部でしかない。
とても、文字だけで伝えきれるものではないし、理解できるものでもない。
また、メディア情報・フィクションや想像力だけで体感できるものでもない。

「ドラマチックな現場で、死生観を養える」
「人生の意味と命の尊厳を体感できる」
等と思っていたら大間違。
現実は、過酷な肉体労働であり汚れ仕事なのである。
ひたすら単調な作業の繰り返しで、思考力を殺して自分を機械にすることが求められることもある。

本blogの真髄は私個人の頭(心)の中の出来事なのである。
同じ特掃作業をしていても、他の人間と共有できるものではない(共有できたとしても、それは一部)。

何が言いたいかって?
「死体業をやらなくたって、人生を大切に生きることはできる」
「どんな仕事をしていても、人生の意義・意味を考えることはできる」
と言うこと。

「特殊清掃は、根性・忍耐・努力等ではない類の〝何か〟が心にないとできない仕事」
だと、私は思っている。

「死ぬのはやめた!」
そんな書き込みは素直に嬉しい・・・。
イヤ、〝嬉しい〟と言うより〝助かったぁ〟と言った方が正確かもしれない。
特に、〝死にたい〟書き込みんできた人と同一の人が〝死ぬのはやめた〟を伝えてきたときは、身体が脱力する。
そして、溜め息にも似た安堵の息をつく。

〝死にたい〟旨の書き込みには戸惑う。
「俺のなすべきことは何?」
と、答のない自問に気落ちする。

だからと言って、「書き込むな」とか「書き込んでほしくない」等とは思っているわけではない。
書き込むことによって、心の腐敗ガスが抜けたり、生きている時間が少しでも長くなるのなら、遠慮なく書き込めばいい。

だだ、その悩みを受けて立つ力は私にはない。
できることと言えば、共有することくらい。
私も、〝生きたい〟希望の影にある、〝死んでもいい〟短絡感を消しきれずにいる人間の一人だから。

どんなに苦悩したって、この世は無の無・空の空。
終わってしまえば何も残らない。
だったら、何だって受け入れてやろうよ。

人生の長さと終わりを、自分で決めたらイカンよ。

以上

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