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特殊清掃を扱う専門会社「特殊清掃24時」:特殊清掃「戦う男たち」2007年分

特殊清掃「戦う男たち」

電話談義(前編)

日本では、二人に一人の割合で携帯電話を持ってるらしい。
しばらく前の情報なので、今はそれ以上かもしれないが。

それにしても、携帯電話の進化と普及のスピードは目を見張るスゴさがある。
短命に終わったポケベル時代が懐かしい。

私が死体業に入った当時、携帯電話なんて誰も持ってなく見る影もなかった。
外での通信手段は、もっぱら〝ポケベル+公衆電話〟。
だから、ポケベルとテレフォンカードは手放せなかった。

ポケベルが鳴る度に公衆電話を探して電話をかける・・・
当時はそれが当り前だったので何とも思っていなかったけど、今思い出すと、不便極まりなかった。

私が携帯電話を持ったのは、比較的早い時期だっで、まだ回りの誰も持っていなかったので、結構珍しがられていた。
贅沢でもなく見栄を張るためでもなく、ただただ仕事に必要で手に入れたものだった。
当時は、携帯電話を持つことにステイタス性があった時代なので、無意識のうちに得意になっていた私。
しかし、残念ながら、かかってくるのは可愛らしい声の甘い話ではなく、味気ない声の御愁傷様な話ばかり。
携帯電話を持っていることを自慢する割には、かかってきた電話は人には聞かれないようにヒソヒソ。
携帯電話は自慢するくせに、肝心の仕事が自慢できない悲しいヤツだった。

当時の携帯電話は、某通信会社のリース品。
電話番号も030から始まり、今より一桁少ない全十桁。
それから010になり、しばらく後に一桁増えて090に。
そのまま現在に至っている。

また、今の機種に比べたら驚くほど低性能。
アナログ通信で音質や電波状態も悪く、かけてもつながりにくく、話してても途中でブツブツ切れた。
更には、電池も短命。
空になるまで使いきらないとどんどんダメになっていくお粗末ぶり。
バッテリー切れも日常茶飯事で、予備の電池パックは必需品だった。

「こりゃ便利!」
と痛感したのはメール機能が登場したとき。
急用でないときや、直接話すほどのことでもないときに重宝。
相手の時間を邪魔しないし、通信料も割安。
このblogだってケータイで打ってるわけで、ホントに役に立ってくれている。

次に驚いたのは、ナンバーディスプレイ機能。
今じゃ当り前のこの機能を初めて見たときは驚いた。
機種変更やサービス申込をしたわけでもなく、ある日突然に相手先の番号が画面に表示されるようになったのだ。

「誰がかけてきたのか分かるー!」
その時かけてきた相手に、ハイテンションで応答したのを今でも憶えている。

私は、だいたい二年毎に携帯電話を変えている。
今使っているものも二年になるので、そろそろ買い替え時かもしれない。
勝手に電源が落ちたり、バイブが動かなかったりと、ぼちぼち不具合もではじめたし。
ただ、新しい機種になると、慣れるまでに時間がかかるので、blog制作に支障がでそうだ。
(ケータイが壊れたら、blogも臨時休刊になるかも。)

買い替えるにしても、私は最新機種は買わない。
いつも、お買い得の旧機種にしている。
値段が高いし、どうせ高性能も使いこなせないから。
〝機種にこだわっていること〟と言えば、030の初代からずーっと某メーカー製で通していることくらい。
メーカーが異なると操作感覚も全く違うらしいので、ずっと一社で通しているのだ。

新機種がでる度に買い替える人もいるけど、使い方を覚えるのが大変じゃないのだろうか。

どんどん便利になっていく携帯電話。
その反面、その便利さが裏目にでるときもある。
いつでも・どこでも話せるから、いつ・どこにいても電話を受けることが可能。
だから、24時間の電話対応が可能になる・・・対応が求められる。

イラッ!とくるのは、夜間にかかってくる社員スタッフの応募電話。

私が若い頃に植えられた常識やマナーは、今は枯れているのだろうか・・・。
仕事の応募や問い合わせは昼間の営業時間帯、一般的には9:00~17:00にかけるのが常識だと思う。
その中でも、朝夕の忙しい時間帯や昼休憩タイムも避けることも。
それを知ってか知らずか、時間帯に関係なくかけてくる人がいる。

しかも、そんな人に
限って口のきき方を知らない。
〝働かせてもらいたい〟なんて謙虚さや誠実さをアピールするような言葉もなく、一方的なスタンス。
相手への配慮や与える印象などは眼中にない様子。
〝24時間年中無休の死体業〟だから、〝人事も24時間年中無休〟だと勘違いしているのか、〝求人数に対して応募者は少ない〟と軽く見られているのか、〝失礼〟という認識がなさそうな態度に私は苛立ちを覚えてしまう。
人事の決済権がなくたって、そんな人は〝No thank you!〟だ。

ある日の夜、クタクタに疲れた一日を振返りながら夕飯を食べている最中、電話が鳴った。

「お!仕事かな?」
私は、口の中のミンチを素早く飲み込み、電話をとった。

「た、助けてぇー!」
悲鳴にも似た第一声に、私は思わず電話を耳から離し、意味もなくディスプレイを見つめた。

つづく

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